Jさんとはもう10年以上のお付き合いになります。
10年前、すたじおぽっちがまだ大地の家の創作クラブだった頃、
(今はなき、元乳児院だった場所を使わせていただいてました。)
Jさんもぽっちへ来られました。
実はJさん、当初は、
ぽっちではない就労系の作業所へ通うことも視野に入れてました。
毎朝のルーティンがあって、出勤時間には間に合わず、
まずはぽっちで生活リズムを整えましょう、ということに。
だから、初日。担当スタッフに連れられ来たものの
「絵は苦手です…」
「描きたくありません…」
そっと筆談で…、Jさんからの訴えでした。
ほんとそうですよね。当時を振り返って、ごめんなさい…
そう言われてしまって、さあどうしようか…と。
「Jさん、何しましょう?」
「Jさんはどんなことが好きですか?」からスタートしました。
この時までに約3年、大地で支援員として関わっていましたが、
改めてみて、こんな風に問いかけたことなかったな…と。
生活面で自立していたJさん、
スタッフの手を借りることも少なく=関わりも少なくなっていました。
そこから半年ほど、
本屋さんに行って好きな雑誌を選んでもらったり、
庭で四季折々の園芸を楽しんだり、
おいしいものを食べに行ったり。
オシャレが好き、めっちゃ食べる、責任感が強い、
意外と冗談も好き、よく笑い、よくしゃべる…
Jさんのいろんな一面を1つ1つ知っていきました。
で、ある日。
仲良しのFさんに誘われて、手で隠しながら小さなお花を描きました。
「きれいやね!」
周りの反応が後押しし、
そこからJさんの世界が広がっていきました。
始めは小さなメモ用紙。
次は色紙。
その次は画用紙…
(…寝てる!?)
小さなお花がほんとたくさん!
絵とともにいろんな表情も引き出されていきました。
お花を描くこと7年。
そして…
「自画像」をテーマにした作品展をきっかけに
さらなる変化を遂げられます。
↑ こちらが「自画像」…
7月に描き始めた「ひまわり」は12月に完成しました。
これは「いちご」。
3月に描き始めて完成したのは9月。
じっくりゆっくり広がるJさんの世界。
あの当時、作業所に行っていたらもっと違う世界もあったかも…
時々、頭をよぎります。
1度しかない人生。
じっくりゆっくりなJさんだからこそ、
1つの選択の重さに支援員として責任も感じます。
今は、笑顔で過ごせる毎日を大切に、
じっくりゆっくり進む時間を一緒に味わいたいと思います。
あと何枚描けるんかなぁ…