遡ること11月、Aさんがあいすくりーむの家にやってきました。
あいすくりーむの家にやってくるまでの間は、グループホーム「やまゆりの家」で生活をされていました。自分のことは何でも自分でしていたAさん、ある時期を境にだんだんとADLが低下してきて、食事も口から食べることが難しい状態にまでなりました。
やまゆりの家での生活も難しくなり、この度あいすくりーむの家に入居されることになりました。入居を決めるにもAさんの意思を確認しながらゆっくり待ちました。新しい環境が苦手なAさん、知らないところへ飛び込むのはとても怖いこと。少しずつ、ゆっくり、あいすくりーむの家に慣れていただくこと、まずは生活リズムを整えることを目標にしました。チェックシートに記録を付け、Aさんの1日を知るところからスタート。職員間でAさんの支援についてやりとりを重ねていきました。
しばらくの間は・・・
食事ができても「いらない、食べない」お茶も飲んでもらえません。
一緒に買い物に行って食べられるものを探したり、声かけをしながら少しずつ、食べられるものを提供するようにしました。やわらかいもの、チョコレート、ハンバーグ、ココアが好きなことがわかりました。食事の時間以外にも、食べられる時に食べられるものを提供したり、職員と一緒に調理をしたりしました。夜間の世話人さんからも「野菜ジュースにしてみたら飲めたよ」「このくらいのサイズなら食べやすいんじゃない」と意見をもらい、食事形態を工夫して上手くいったものを職員でも共有して試していきました。
お風呂も「入りたくない」の一点張り。
まずは着替えや清拭から始め、「お風呂に入ったらスッキリしますね」「気持ち良いですね」とポジティブな声かけを統一することで、少しずつお風呂に入れる日が増えていきました。
排泄や睡眠についても今まで自立されていたため確認が難しく、かかりつけ医と相談しながらお薬の調整を開始。「夜に寝て朝に起きる」「日中はお日様に当たる」「食事をしっかり食べて出す」という基本的なところを整えていきました。
通所先の「木の根学園」にも行けたり行けなかったり、木の根学園とも情報共有を行い、こちらもAさんの気持ちを確認しながら対応していくことを大事にしていきました。
そして・・・少しずつAさんにとって心地よい環境が整っていきました。
体が整ってくると心も元気になってきたようです。表情が明るくなりADLが徐々に回復、今では食事も「全部食べたで」と言いに来られます。
お風呂にも毎日入ってスッキリ。
夜もよく寝て、朝もスッキリ起きられるようになってきました。
そんなある日・・・
いつものように木の根から帰って来て事務所にやって来たAさん。「ありがとう」と書かれたメッセージカードを持って来られました。
その時、まだ深い意味はわかりませんでした。
その後、お風呂に入っていた際に、職員に「あいすに呼んでくれてありがとう」と言われていました。本当なら慣れ親しんだやまゆりの家で生活を続けていきたかったはずですが、最後はご自分で「あいすくりーむの家に行く」と決められました。Aさんにとって、ここは安心できる場所だと感じてもらえることができたのでしょうか。
Aさんからこの言葉が聞けてとても嬉しく、日々の支援が間違っていなかったと感じるできごとでした。
こちらこそ、ありがとう。
これからも、よろしくお願いします。