HIさん・・・生きた証

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HIさん・・・生きた証

HIさんのカレンダーは、16日(金)が4月の「ケ〇タッキーの日」でした。

月に1度の「ケ〇タッキーの日」

5月からは記載が無くなりました・・・

HIさん62歳、惜しくも生涯を閉じられたのは、4月10日の事でした。

ご自分で1日の予定、1ヶ月の予定、1年の予定を立てておられ、それを計画通り進めていく方でした。

彼にはHI WORLDがあり、それを貫かれた人生でした。

私が初めてHIさんにお会いしたのは、25年前です。

明石市立木の根学園の箸班に所属されており、ご自分の仕事内容・仕事量に拘り、丁寧な仕事をされていました。

そして、明石市内に初めて入所施設(障害者支援施設)大地の家が開設された時に入所されました。

大地の家での生活にもすぐに慣れ、行事や外出時はダンディにネクタイやジャケットで整え、カラオケでは、なりきり大熱唱・・・

食べる事が大好きで、お弁当(大好きな唐揚げ弁当)2個くらいはペロッと食されていました。

そして、女性を見る目は抜群で、お気に入りの職員さんをとても大切にされる方でした。

私の知る限りでは、これらのスタイルに変化はありませんでした。

そして、3年前あいすくりーむの家に移行されると決まった時、病から入院が必要となり、1ヶ月遅れの移行となりました。

この入院から歩行が困難となり、コルセットと車椅子生活になられたのですが、車椅子も上手に使用しながら、その生活に慣れていかれました。

Drの話では、自力歩行は今後難しいかもしれません・・・と言われながら、訪問リハビリで歩行訓練にも励みました。

ちょうど1年ほど経った頃、HIさんにも意欲が見られ、歩行器での歩行が少しずつ可能になってきました。

歩行器と車椅子を併用しながら、HIさんらしい生活が戻ってきました。

そこには「好きなパンやコーラーを買いに行く」「パンを運ぶお手伝いをする」など、リハビリの目標が見えてきたからです。

でも、もう1つ大きな目標がありました。

先日の通夜のご挨拶で、お兄様は「1つだけ悔やまれる事があります」と話され、「一緒に旅行に行きたい・・・と言っていたのに、コロナもあり、連れて行ってあげられなかった事です」とありました。

HIさんは、お兄様との旅行をとても楽しみにしておられ、リハビリにも励み、歩行器での歩行を頑張っておられたのです。

人は楽しみや目標があり、人の役に立つことが生きている糧になるのだと、HIさんと過ごす中で感じていました。

突然訪れた1番悲しい出来事・・・お別れとなりましたが、ご自分の立てた予定を最後まで貫き、目標を持って生きてこられた姿勢は、立派としか言いようがありません。

お別れして2週間後、全職員でHIさんの事を、自分たちの言葉で語り合いました。

この間、多くの事を感じながら他支援を続ける職員にとって、この時間はとても大切な時間です。

語り合う事、その全てがHIさんの「生きた証」であり、HIさんから頂いたメッセージと受け止め、気持ちの整理と共に必ず職員の心の成長に繋がると信じています。

4月16日の「ケ〇タッキーの日」には、HIさんを偲びながら、職員でケ〇タッキーを食しました。

5月からのカレンダーに予定が入らなくなった事が、より一層寂しさを感じさせます。

HIさん、私達は貴方の事をいつまでも忘れません。                

あいすくりーむの家  奥山 智子