明桜会ができて20数年・・・
お一人おひとりの「望む暮らし」実現に向けて、明桜会は何をするのか。
運営企画室から、法人の方向性・現在の取り組みなどをシリーズとして
お伝えしていきます。
初回、記事を書いてくださったのは運営企画室長の鳥居さん。
(このシリーズは、明桜会の社内報「MOKマガジン」にも掲載しています)
-施設づくりから地域づくりへ-
明石に初めてできた知的障害者の入所施設大地の家は、「地域で
暮らすことが難しくなったご利用者が我が家のようにくつろげるように」
という夢や希望を持ってつくられたということは容易に想像できるでしょう。
そして、今まで苦楽をともにしてこられた親御さんが安心できるようにと
いう想いも込められていました。
いわゆる「親なき後の終の棲家」「入所施設が最後の砦」という側面です。
私は、そのことに応えることが明石で唯一の入所施設に求められた役割であ
ると考え、相談員として15年以上地域の方々から相談をお受けしてきました。
しかし「親なき後の終の棲家」「最後の砦」の要望はよく耳にしましたが、
ご利用者自ら「私の安心安全のために入所施設を探してください」と相談に
来られた方は誰一人いませんでした。
このことが意味することを改めて考える時期が20年経過した今なのだと
思います。
ご利用者を前にして「お金の管理にご飯の支度、通院に洗濯・・
できないことがたくさんあるのだから入所施設へ行こう」と説得する度、
「地域で生活することが無理だって決めつけないで」というご利用者の
声が聴こえていました。
地域で暮らすことができない人ではなく、この人に合った資源を私たちが
見つけられていないだけ・・
「早く入所施設に代わる何かをつくらなければ」
という想いを持って、運営企画室はスタートしました。
この間、地域のなかにはグループホームが急増し、当法人のグループ
ホームも10か所近くになりました。もちろんグループホームもご利用者
にとって選べる資源の一つですが、グループホームが親なき後の終の棲家・
最後の砦とならないように、ご利用者の声は聞いていかないといけないと
思っています。
そして、法人が目指すこの先には・・
「両親が高齢になっても、生まれ育ったこの家で暮らしたい」
「大人になったら一人で暮らしたい」
という私たちにとって当たり前なことをご利用者が堂々と話し、またその
権利を保障していく資源をこの明石で整えていくという使命があります。
これは、明桜会が大切にしてきた基本理念でもあり、このことを追及し
実践していくことが私たちの仕事だと思っています。