私は介護の勉強をするため、一度明桜会を離れていました。
障害者支援しか知らない私にとって、介護の世界は初めてのことだらけでした。
移乗の仕方、食事介助、オムツのあて方、入浴介助、ターミナルケア・・
1から色んなことを学びました。
そんな中で1人のおじいちゃんのことがとても思い出に残っています。
おじいちゃんには発語がなく、日々をほとんどベッドで過ごしていました。
食事も誤嚥するリスクが高くミキサー食でした。
「昔は食べることが好きでね、よくおしゃべりもしてたんよ」と家族の方から伺いました。
看護師さんから許可をもらい、車いすに移乗して目の前でお好み焼きを焼いてみることにしました。
良い匂いにつられてかパチッと目が開きました。
細かく切ったお好み焼きを口元に運びました。
1口飲み込むのにもとても時間がかかります。
すると、しばらくして「うまいな~」とおっしゃたのです!
数口食べると「ほんまにな。うまいわ・・」と目からは涙が流れていました。
看護師さんも職員も泣いていました。
おじいちゃんはそれから数か月後に亡くなりました。
最期の時を迎える時まで、してあげられることはたくさんあると思います。
携わる側がするかしないか、その選択で利用者さんの人生は大きく変わることを学びました。
それから、特別なことをするのではなく、当たり前の毎日を大切にするようになりました。
お風呂にゆっくり入りたい、美味しいものが食べたい、家に帰りたい・・
叶えられるものは、できる限りすぐ形にするようになりました 。
特に、ターミナルに入るとあの時しておけば良かったと後悔することの方が多くなります。
その人の楽しみは何か?
嫌いなことは何か?
生きる活力になるものは何か?
知ること・話し合うことは今しかできないことです。
「今」を大切にしながら、
最期の時を迎える時、ここに来て良かったと感じられる、
あったかいあいすくりーむの家を、あったかい職員みんなと一緒に作っていきたいです。
今回は、女性職員Uさんに、 自身のエピソードとともに あいすくりーむの家に対しての想いを語って頂きました。
業務の流れを優先するのではなく、手を止めてその方の「今」に寄り添い向き合う。
あいすくりーむの家の存在意義を、改めて見つめなおす機会となりました。